テレビでなんか感動の動物ものやってるの見て思い出した
感動できない猫と飼い主の話。
(知り合いから聞いた多分実話。もう何十年も前の話なので時効だろう)
知り合いは山が山盛りの田舎に点在する村に住んでいた。
ある日自動車で田舎を移動していると、
道端に猫が。
よく見てみると、それは友人田中(仮名)の家の買い猫たま(仮名)。
しかし、田中の家はここから山を一つ二つ越えたところにある。
「なんや、たま。こんなところでどうしたんや。まあ、乗れ乗れ」
とたまを車に乗せて、知り合いは田中の家へ。
田中の家に着くと知り合いは、
特に用事もないから、と田中に挨拶もせず、
「ほら、着いたぞー」
とたまを家の真ん前におろして、さっさと立ち去ってしまったそうだ。
(田舎なので、猫はたいてい放し飼い。当時鍵もない家とかもまだあった)
その後、知り合いが田中と会ったとき、
「おい、実はうちのたまが・・・」
と始めた話によると、
田中の家は最近建て替えたので、家族会議で
猫に新築の柱を傷だらけにされるのも嫌だしなあ、ということで
捨てようか、という話になった。
じゃあ、帰ってこれないように山を越えたところに捨てに行こうということになり、
捨てたところを知り合いがたまたま通りかかったらしい。
「にゃーって泣き声がするから何事かとおもったら、
あいつ、山越えてうちに帰ってきたんやー。
信じられへーん、て話になってなあ。
あんまりびっくりしたんで、結局たまを飼い続けることにしたんや」
「とても自分が連れて帰った、とか言えんかったわ。
結局たまはめでたく元の家で暮らしているらしいわ」
と、なんとなく気まずーい顔で知り合いが
こっそり笑い話として話してくれたのでした。
めでたしめでたし。